6つ上の姉は学校が終わると 真っ直ぐ家には帰らず
必ず父親の働くスナックへ足を運ぶ。 スナックのカウンターが姉の勉強場所。
父親は一番最初に生まれた娘だから 目に入れても痛くないほどの存在のよう
だからお店には いつも姉一人しか遊びに行くことはしなかった。
3つ上の姉は延長保育ギリギリの時間まで保育園にいる。
母は一日中働きずめで、私の子守もしなくてはいけないし 3つ上の姉だって
かまってあげないといけない。
そのせいか6つ上の姉は 自然と父親の元へ行ってしまう。
自然と親子の間にも亀裂が入る。 私が生まれた事で余計に亀裂が入ったのかもしれない。
次第に父親は長女しか可愛がらなくなり 次女も私も・・・そして母親までもが
煙たがれる存在に変わっていった。 毎日がすれ違いの生活。
次女は父親にはなつかず いつも新聞を買いにくる男の人と遊んでばかり。
毎日やってくる男の人に姉は 『 ねぇ、私のお父さんになって。』 とひと言。
『 お父さんかぁ~、でもお母さんが良いよって言わないと お父さんにはなれないよ。』
『 じゃぁ、私がお母さんにお願いする。』
これが違う生活への第一歩となった言葉だった。
もちろん母は冗談だとしか思っていなかったけどね。